大規模な信号制御が渋滞緩和に期待
多数の信号機をまとめて制御
株式会社豊田中央研究所と東京大学が協力し、カナダ・D-wave社製「量子アニーリングマシン」を使用することで、多数の信号機をまとめて制御できると発表しました。
その制御システムを使用すると、交通の流れを10%改善できます。
これまでの課題と克服方法
信号が交通量に合わせて融通が利くようになれば、渋滞が緩和されることは間違いがないでしょう。
一部の信号では、周囲の交通量の状況にあわせた、対応ができるものが実装されています。
これを一部ではなく、都市全域にすることで、交通の流れがスムーズになるのですが、実現には非常に困難な状況です。
複数の信号を制御するためには、数学の「組み合わせ最適化問題」が必要となり、組み合わせの結果を出そうとしてスーパーコンピューターを使用しても、延々と計算が繰り返され終わりません。
それほど、膨大で複雑な計算処理が必要となり一番の問題になっています。
目的地の場所へ向かうには、ルートは複数あり信号もたくさんある。
どのルートが最適なのか、想定できるルートをすべて計算する必要があり、信号機の数が増えると計算するのに膨大な時間が必要になります。
また、信号制御の演算はリアルタイム性を求められ、遅くても10秒ほどで出さなければいけなく、それまでに交通状況の取得と交通状況の取得を行い、計算されてなければリアル性は無理な状態です。
都市全体にある信号機を制御すると難しい面があります。
そこから、株式会社豊田中央研究所と東京大学が協力し、従来のコンピューターとは異なる仕組みで動作する
量子コンピューターへ着目しだしました。
通常のコンピューターは1ビットを2進数で計算し0か1のどちらかを表しますが、量子コンピューターでは、使う1量子ビットが量子の特性を利用することで、0と1の両方を合わせて表すことが可能です。
量子コンピューターは、計算に複数台のコンピューターを使うものでも、1台で計算することができる力をもっています。
膨大な計算を必要とする組み合わせ、最適化問題でも実用の時間内に答えを出せるのではないかと考えられえました。
量子コンピューターの一種であるカナダ・D-wave社製の商用量子アニーリングマシン「D-wave2000Q」をもとに計算することが決定します。
導入当初は、なかなかうまくいかなかったが、量子ゆらぎと呼ばれる量子力学的な物理現象を利用すると組み合わせと、最適化問題に特化はできるが、膨大な計算、複雑な問題をとけないのではないだろうと言われていました。
しかし、量子アニーリングマシンで扱えるようになるため、計算をシンプルにしたところ、交通量の偏りを少なくできる信号の色が何色かという結果が出ています。
従来の手法と比べて評価関数の値が10%小さくなることが確認でき、これは交通流を10%改善できるということです。
今後の展望
将来的に、量子コンピューターが発展します。
期待されている性能を発揮できるようになれば、現実の都市の信号機に、都市全体の交通状態に応じて、高速と効果率を制御できる基盤となる可能性があります。
1つの信号機が状況を判断
まだ計算上ではあります。
実現すると全体のデータから1つの信号機が状況を判断して応じるのは、画期的になるでしょう。