国文省の「ピンポイント渋滞対策」とは

渋滞の名所を解消する国交省の対策

国交省は渋滞調査の結果を受けて、2016年6月に海老名ジャンクションや大和トンネル付近を改修して、東名高速道路の渋滞を緩和・解消する対策を行うことを発表しました。
改修する道路近辺は、頻繁に渋滞が起きる渋滞名所と呼ばれるポイントです。
一体どの様な改修が計画されたのでしょうか。

公表した改修の内容

ポイントは次の2つでした。
1.海老名ジャンクションの圏央道八王子方面~東名高速に向かう分岐部分(ランプウェイ)は1車線だったのですが、名古屋方面用と東京方面用に2車線化され、渋滞のないスムーズな接続を目指す。
実施の時期は、2016年の夏で、現在使われている道路の幅の範囲で車線引き換えによる2車線化を図る。
2.すでに事業に着手されている東名高速大和トンネル近くの車線追加は、2020年に実施される「東京五輪」に間に合うよう運用をスタートさせることを目指す。

2015年にも行われたランプの車線を2車線化する対策

実は2015年に東名高速と圏央道の接点である海老名ジャンクションでは、東名高速から圏央道外回りに乗り換えるためのランプウェイは道路の幅を広げる工事をせずに、路面の車線を2車線に引き直しています。
その結果、それまでひどかった渋滞がほぼ完全になくなり顕著な効果が表れたのですが、それがようやく反対のランプでも実現する事とされたのです。

このような大きな工事の必要のないペイントの引き直しで解消する渋滞が、渋滞が激しくなる夏季のシーズン前に実施されるのは大変助かりますが、このような対策で解決できる箇所は早急に解消してほしいものです。

かつて国交省は海老名JCTの渋滞緩和対策に関し「河川がある地形を勘案すれば2車線化は難しい」と説明していました。
そして、2018年度の新東名高速と圏央道の区間の開通により車両が分散され混雑は解消する、と言っていました。
それがランプのペイント引き換えによる2車線化で、混雑が解消するのですから、国交省の考えも直ちに正しいと受け取ることはできません。

2016年の2車線化を国交省は「ピンポイント渋滞対策」と命名

2016年のランプの車線引き換えによる2車線化を国交省は「ピンポイント渋滞対策」と呼びます。
これは前に見たように2015年の成功例を踏襲したものであることは間違いないでしょう。

しかし2015年に反対側のランプを車線引き換えで2車線化するに当たっては、「……の暫定対策」と呼んでいました。
「暫定」の言葉には、変えてもうまくいかなければ元に戻します、という失敗の責任から逃れたい役人の心情が含まれているのではないかと推測できます。

しかし、このような暫定対策がうまくいって、他にも良い影響を与えるのであれば、積極的に暫定対策にチャレンジしてもらいたいものですね。