通れた道マップ

実際の車両走行データに基づく道路通行止め情報

災害の多い日本では、地震や豪雨などの災害により、土砂崩れや建物倒壊が起きて道路が通行不能になるケースは珍しくありません。
通れた道マップは、こうした災害発生のため通行不可能となってしまった道路を車両の走行状況データに基づき、インターネット上に表したものです。
元になるデータは「プローブカーデータ」と呼ばれる、現実に走行中のクルマをセンサーとして集めたデータであり、いわゆる生のデータと言えます。

大規模な災害が起きた際に、一般車が通行不能な道路を知らずに通過しようとして立ち往生すれば、無用な道路の混雑を招き、被災地での救助活動や復興の邪魔になってしまうでしょう。
通行できる道と通行できない道を実際の車が走った情報に基づき知る事は、被災者や救助・復興関係者だけでなく、運送事業者をはじめ一般のドライバーにとっても有意義です。

プローブカーデータは今のところ通行止めの情報をネットで知らせるのが主な使われ方ですが、将来的には、クルマの総合的な走行サポートに活用できると考えられています。
例えば、走行スピード、位置以外にワイパーの作動状況までも把握して天候情報を集めて気象情報に活用することも考えられているのです。

通れた道マップ開発の経緯

この「通れた道マップ」の名称は、平成19年に発生した中越沖地震の際に防災科学技術研究所(NED)とホンダが共同して使用したことが始まりとされます。
ホンダの運営するNAVIと防災科学技術研究所(NED)が道路交通の実態データを集め、公開する実証テストを試験的に行ったのです。

平成19年頃は、実験的にネット上に前日の24時間分の道路通行状況を翌日にアップする形でPDFファイルでのデータ提供であったため、タイムラグが大きい状況でした。
その後、ホンダや地図を得意とするゼンリン、NAVI製品を展開するパイオニアなどと共同して道路通行情報を共有するシステム開発を進めました。
平成23年3月に発生した東日本大震災時以降、トヨタ自動車等がこの名称を使ったことで、広く知られるようになりました。

東日本大震災時に大きく展開する通れた道マップ

平成23年3月に起こった東日本大震災発生のあと、災害時の道路情報の重要性が強く意識され、多くの会社がこの「通れた道マップ」を提供するようになりました。
上述のホンダやパイオニアのみならず、トヨタ、日産などのメーカーが加わり各社のデータを集約したシステムとして運営された時期もありましたが、短期間でサービス提供を終えています。

トヨタが提供する「通れた道マップ」の概要

リアルタイムでPCやスマホで閲覧が可能です。
提供される情報は、3時間前、24時間前、それぞれの情報で、クルマが通れた道は水色でマップ上に現されます。
その他の大型通行止めやチェーン規制は、アイコンでマップ上に示されます。